リハビリテーションと私の軌跡

日々の臨床のキロク

回復期リハビリテーション病棟

私の経歴として現在に至るまで、回復期リハビリテーション病棟で勤務する期間が長くありました。回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)では、患者さまとご家族さまを中心に据えて、生活機能の向上に向けた多職種でのチームアプローチを主に行っていきます。したがって、回リハ病棟だけに限った話ではないのですが、「連携」とか「協働」といったワードを耳にしたり、院内での研修を受けたりする機会が多いのです。

私は「連携」と「協働」の言葉の違いは重要とは思っていません。どちらも「共通の目的を達成するために、複数の人たちが協力して働くこと」であるという認識であればいいと思います。

では実際はどうかと言いますと、言うは易し行うは難し、でしょう。そもそも「連携」とか「協働」といったワードが言われるようになってから早四半世紀以上が経過している訳ですが、今もなお変わらず「重要だ!」、「やらなければならない!」と言われているのは現場でほとんど出来ていないからだと思います。

リハビリテーションに従事されている方々、いかがでしょうか?「思う通りにならないなぁ」と思った経験ありませんか?恥ずかしながら、私は今でも思うことがありますが、それでも以前に比べれば上手に立ち回れるようになってきたと思います。

「連携」と「協働」のために必要なこと。
それは「相手の職域を知る」ことだと思っています。
回リハ病棟での医師の、看護師の、医療SWの、薬剤師の、栄養士の、そして私たち療法士の担う役割は何なのかを明確にすることです。当たり前のことを言っているのは重々承知していますが、現場でそれが明文化され、業務フローの中に落とし込まれているかと言われると実際のところそうではないのではないでしょうか。

私は以前カンファレンスで、「退院後生活に向けてお金のことやサービスの紹介を患者さまにした」という話をしたら医療SWにお叱りを頂きました。この時は怒られた理由が良く解らなかったのですが、その後しばらくして医療SWと話す機会があり、「そういうことだったのか」と腑に落ちた経験があります。
私はそのカンファレンスで(事象としては患者さまに話をした時点で)医療SWの職域に土足で踏み込むような対応をしてしまったわけです。私はこのように直接お叱りという形で指摘を受けられたことは幸せだったのではないかと思います。実際には「何だかなぁ」と思われつつもお互いにじっと我慢して仕事していることの方が多いでしょうから。

患者さまのために、これからも精進していきたいと思います。今回は以上です。