リハビリテーションと私の軌跡

日々の臨床のキロク

入院時訪問指導加算

入院時訪問指導加算は、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者について、当該病棟への入院日前7日以内又は入院後7日以内に患者の同意を得て、保険医、看護師、理学療法士作業療法士又は言語聴覚士のうち1名以上が、必要に応じて社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士等と協力して、退院後生活する患家等を訪問し、患者の病状、退院後生活する住環境(家屋構造、室内の段差、手すりの場所、近隣の店までの距離等)、家族の状況、患者及び家族の住環境に関する希望等の情報収集及び評価を行った上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合に、入院中に1回に限り150点算定できるものです(厚生労働省HPより一部抜粋)。

 

実際に行ってみると、往復路と訪問にて1時間以上は時間を割かねばなりません。単位に換算しますと3単位以上です。それを1人で行えればそうですが、実際はスタッフ側の個別的教育も目的であるため2人で行くこともあり、そうなると6単位以上拘束されることになります。大体1単位を220点くらいとすれば、1,320点。でも加算で得られるのは150点。コストだけで見れば失う方が大きいです。

 

もちろん入院後早い段階で、在宅復帰するであろう家屋環境の情報や家族との直接的なやり取りによって得られる情報は、患者さまの生活機能の予後予測に必要不可欠です。

では、この必要不可欠な情報が得られないのか?と言われると必ずしもそうではないでしょう。家屋内の写真を持ってきてもらう、医療SWとの連携により生活背景等を聴取してもらう等です。

そう考えると入院時訪問指導加算はリハビリテーション科スタッフへの教育的観点が強いように思われます。

回復期リハビリテーション病棟で毎日発生する単位数を、大幅に超過してまかなえる人員配置がある病院でなければ、この加算を導入するのは中々難しいと考えています。

 

患者さまのために、これからも精進していきたいと思います。今回は以上です。

回復期リハビリテーション病棟

私の経歴として現在に至るまで、回復期リハビリテーション病棟で勤務する期間が長くありました。回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)では、患者さまとご家族さまを中心に据えて、生活機能の向上に向けた多職種でのチームアプローチを主に行っていきます。したがって、回リハ病棟だけに限った話ではないのですが、「連携」とか「協働」といったワードを耳にしたり、院内での研修を受けたりする機会が多いのです。

私は「連携」と「協働」の言葉の違いは重要とは思っていません。どちらも「共通の目的を達成するために、複数の人たちが協力して働くこと」であるという認識であればいいと思います。

では実際はどうかと言いますと、言うは易し行うは難し、でしょう。そもそも「連携」とか「協働」といったワードが言われるようになってから早四半世紀以上が経過している訳ですが、今もなお変わらず「重要だ!」、「やらなければならない!」と言われているのは現場でほとんど出来ていないからだと思います。

リハビリテーションに従事されている方々、いかがでしょうか?「思う通りにならないなぁ」と思った経験ありませんか?恥ずかしながら、私は今でも思うことがありますが、それでも以前に比べれば上手に立ち回れるようになってきたと思います。

「連携」と「協働」のために必要なこと。
それは「相手の職域を知る」ことだと思っています。
回リハ病棟での医師の、看護師の、医療SWの、薬剤師の、栄養士の、そして私たち療法士の担う役割は何なのかを明確にすることです。当たり前のことを言っているのは重々承知していますが、現場でそれが明文化され、業務フローの中に落とし込まれているかと言われると実際のところそうではないのではないでしょうか。

私は以前カンファレンスで、「退院後生活に向けてお金のことやサービスの紹介を患者さまにした」という話をしたら医療SWにお叱りを頂きました。この時は怒られた理由が良く解らなかったのですが、その後しばらくして医療SWと話す機会があり、「そういうことだったのか」と腑に落ちた経験があります。
私はそのカンファレンスで(事象としては患者さまに話をした時点で)医療SWの職域に土足で踏み込むような対応をしてしまったわけです。私はこのように直接お叱りという形で指摘を受けられたことは幸せだったのではないかと思います。実際には「何だかなぁ」と思われつつもお互いにじっと我慢して仕事していることの方が多いでしょうから。

患者さまのために、これからも精進していきたいと思います。今回は以上です。

自問自答

リハビリテーションといえば、想像しやすいのは以下の通りではないでしょうか。

 

○○筋を強化する

右足に体重を載せるよう練習する

日常生活動作の一部分を切り取って練習する

 

結論から言いますと、私はリハビリテーションを行う時にはこれらのことを優先して行うことはありません。

それよりももっと大事なことがあるような気がしてならないからです。

そうした考えを綴っていけたらと思います。